○菊池広域連合火災調査規程

平成17年2月1日

規程第16号

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章に定めるところにより行う火災の原因及び損害の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 火災の調査においては、火災が発生した消防対象物の燃焼状況を観察して出火点を求め、発火源、着火物及びその相互間に燃焼現象が生じて火災となった経過並びにその損害を調査するほか、火災が拡大し、若しくは延焼した場合又は死傷者を生ずるに至った場合には、その原因を明らかにし、火災予防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(調査の限界)

第3条 調査は、法の定める事項に限り行うもので、法に特別の定めがある場合のほか、犯罪の捜査に関与してはならない。

2 調査は、法その他関係法令に定める事項を遵守するほか、この規程の定めるところによって行わなければならない。

第2章 調査の指揮と責任

(調査の責任)

第4条 調査の実施責任は、消防長又は消防署長(以下「消防長等」という。)にある者とする。

2 消防長等は、消防行政上特に必要があると認める火災については、特別調査本部を設けることができる。

(調査員の選任)

第5条 消防長等は、第1条の調査を実施するため、菊池広域連合消防吏員のうちから調査員を選任することができる。

2 前項の規定にかかわらず、消防長等が必要と認めるときは、調査員以外の者に調査をさせることができる。

第3章 調査の実施

第1節 調査の心得

(調査員の心得)

第6条 調査員は、次の事項を心得なければならない。

(1) 常に消防関係事象及び関係法令の研修に努めるとともに、社会の動向に留意し、調査技術及び調査能力の向上に努めること。

(2) 炎上中の現場において、人命の救助又は危険物の燃焼等、緊急に処置を講ずべき事項を発見したときは、調査に先がけて直ちに必要な手段を講じること。

(3) 火災の原因の探究に当たっては、不屈の精神をもって臨み、冷静周密に調査を行うこと。

(4) 調査に当たっては、警察職員と緊密な連絡を保ち、互いに協力すること。

(5) 実況見分に当たっては、自己の身分を明らかにし、関係者の承諾を得て行うことを原則とし、必要があるときは立会いを求め、調査の信ぴょう性の確保に努めること。

(6) 関係者の名誉をき損しないよう留意し、調査上知り得た事項は、みだりに他に漏らさないこと。

(7) 調査員は、民事的紛争に関与しないこと。

(調査の着手)

第7条 調査員は、管内に火災の発生を覚知したときは、直ちに火災調査に着手しなければならない。

第2節 現場保存

(出場中の調査)

第8条 調査員及び消防隊員は、出場途上及び到着現場において、燃焼部位、燃焼状況、関係者の動向及び消防隊の活動状況その他必要な事項を把握しなければならない。

2 前項により把握した事項で火災原因の調査に必要と認められるものは、火災出場時における見分調書(様式第1号)に記録しなければならない。

(消火活動中の保存)

第9条 消防署長は、消火活動中火元付近の消火に際しては、細心の注意を払い、努めて焼失前の状態を推知できるよう留意しなければならない。

2 残火鎮滅に際して、火元と認められる箇所及びその付近の物件を移動し、又は現状を変更する場合は、写真又は見取図等を作成する等の方法を講じ、事後の調査に支障をきたさないよう処理しなければならない。

(鎮火後の保存)

第10条 消防署長は、消火活動終了後直ちに現場保存の必要な区域を設定し、その保存に必要な監視員を配置しなければならない。ただし、その区域が既に警察官によって保存されているときは、この限りでない。

(情報収集)

第11条 調査員は、火災現場付近における住民の風評及び動向に注意して、調査上必要な情報及び資料を収集しなければならない。

第3節 原因調査

(調査の原則)

第12条 原因調査は、常に事実の確認を主眼として先入観念にとらわれることなく、科学的な方法と周囲の状況等の合理的な判断により事実の究明に努めなければならない。

(調査の方針)

第13条 調査は、物的調査及び人的調査を併用しなければならない。ただし、原因の判定に当たっては、物的調査に主眼をおかなければならない。

(物的調査)

第14条 物的調査は、次に掲げる各号について、詳細にこれを行わなければならない。

(1) 発火及び出火時刻の推定

(2) 気象状況

(3) 現場を中心とする付近の状況

(4) 出火前の被災物件及びその他の状況

(5) 消火活動状況

(6) 燃焼状況

(7) 発掘状況

(8) 出火点及び発火点

(9) 発火源、経過及び着火物

(実況見分)

第15条 調査員は、前条により火災現場の状況を見分したときは、そのてん末を実況見分調書(様式第2号)に記録しておかなければならない。

2 実況見分に際し、立会人に説明を求めた場合は、見分内容を明らかにするため、特に必要と認めるときは、その供述内容を記録しなければならない。

3 実況見分調書には、写真、図面等を添付するよう心がけなければならない。

(人的調査)

第16条 人的調査は、時期を失しないよう現場又は適当な場所において、早期発見者、火元関係者、その他関係ある者に対して、出火前後の模様、火気その他発火物と思慮されるものの使用、取扱い等原因判定上必要と認められる事項について質問し、火災原因の資料にしなければならない。この場合において、被災者に対して努めて迷惑をかけないようにしなければならない。

2 調査員は、質問を行うに当たっては、強制的手段を避け、任意に事実の供述を得るよう努め、自己が期待し、又は希望する供述を被質問者に暗示するなどの方法により、みだりに供述を誘導してはならない。

3 調査員は、被質問者の伝聞にわたる供述で重要な事案にかかるものがあるときは、その事案を直接経験した者に更に質問を行うよう努めなければならない。

(質問調書)

第17条 調査員は、前条により知り得た事実のうち原因の判定上必要と認められる事項については、質問調書(様式第3号)に正確に記載しておかなければならない。

2 質問調書は、被質問者に閲覧又は読み聞かせて誤りのないことを確認させ、被質問者が調書の内容について、増減及び変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載しておかなければならない。

3 被質問者が、質問調書に誤りのないことを申立てたときは、これに署名を求めるように努めなければならない。

4 質問調書の作成に当たり、必要な場合には図面等を添付するものとする。

(原因判定)

第18条 調査員は、火災現場の観察、実況見分、質問及び収集した資料等により知り得た事項に基づき、火災の原因となるあらゆる可能性について、客観的かつ合理的に比較検討を加え、火災原因の判定をしなければならない。

2 前項の火災原因の判定を行うについては、判定に至った火災原因のてん末のほか、火災拡大の理由などを火災原因判定書(様式第4号)に記載しておかなければならない。

3 火災原因の判定が困難で継続して調査の必要があると認める場合においては、その旨を消防長等に報告し、継続して調査を行うものとする。

第4節 資料の収集

(官公署への照会)

第19条 消防長等は、関係のある官公署に対し、調査のため必要な事項について照会するときは、火災調査事項照会書(様式第5号)により行うものとする。

(資料の提出命令)

第20条 消防長等は、関係者に対し調査のため必要な資料の提出を求めるときは、資料提出命令書(様式第6号)により行うものとする。

2 前項により提出された資料は、調査資料提出書(様式第7号)を添えさせるものとする。

(資料の保管)

第21条 前条により提出された資料については、資料保管書(様式第8号)を関係者に交付しなければならない。ただし、関係者が所有権を放棄したものについては、この限りでない。

2 前項により提出された資料は、汚損、変質及び変形等が生じないよう慎重に取り扱うとともに資料保管台帳(様式第9号)に明記しておかなければならない。

(保管物の返還)

第22条 前条第1項により資料保管書を交付した資料で保管の必要がなくなったときは、提出者に返還し、保管物還付受領書(様式第10号)を徴するものとする。

第5節 損害調査

(調査の対象)

第23条 損害調査は、火災及び消火のために受けた生命、身体の被害及び財産の損害について行うものとする。

(り災物件の調査)

第24条 調査員は、火災現場その他関係のある場所に立入って、り災物件を詳細に調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。

(調査上の基準)

第25条 損害の調査は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号)に定めるところにより行うものとする。

(損害の申告)

第26条 消防長等は、損害調査のため必要があるときは、関係者に対して火災損害届(様式第11号)の提出を求めるものとし、提出がなされたら受付を行うものとする。

第4章 少年等に関する特例

(準拠)

第27条 少年(少年法(昭和23年法律第168号)第2条に規定する「少年」をいう。)の関係する火災の調査は、この章の規定によるほか一般の例によってこれを行うものとする。

(処遇)

第28条 少年の関係する火災の調査を行うに当たっては、少年の将来を考慮し、温情と理解をもってこれに当たらなければならない。

(保護者)

第29条 少年に対して質問し、又は実況見分時の立会人とする場合は、保護者、教師又は保護司等の立ち会いのもとに行わなければならない。

(署名)

第30条 少年の質問調書には、立会人の署名を求めるものとする。

(特例)

第31条 調査上特に必要があると認めるとき、又は年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと認めるときは、前2条の規定によらないことができる。

(準用)

第32条 精神又は身体に障害のある者等の関係する火災の調査については、この章の規定を準用する。

第5章 調査書類の作成、報告及び保存

(書類作成の原則)

第33条 調査書類の作成に当たっては、平易簡明な文章を用い、事実をありのまま、かつ、明瞭に表現し、誇張、冗長等の記述は避けなければならない。

(書類の作成)

第34条 火災については、次の各号に定める書類の中から必要なものを作成するものとする。ただし、出火原因が明確なもの、又は焼損面積が小規模なものについては、この限りでない。

(1) 火災出場時における見分調書 (様式第1号)

(2) 実況見分調書 (様式第2号)

(3) 質問調書 (様式第3号)

(4) 火災原因判定書 (様式第4号)

(5) 火災調査事項照会書 (様式第5号)

(6) 資料提出命令書 (様式第6号)

(7) 調査資料提出書 (様式第7号)

(8) 資料保管書 (様式第8号)

(9) 資料保管台帳 (様式第9号)

(10) 保管物還付受領書 (様式第10号)

(11) 火災損害届 (様式第11号)

(12) 火災調査関係書類目録 (様式第12号)

(13) 火災調査報告書 (様式第13号)

(14) 火災防ぎょ報告書 (様式第14号)

(15) 消防職員出場者名簿 (様式第15号)

(16) 建物損害調査書 (様式第16号)

(17) 林野等損害調査書 (様式第17号)

(18) 車両損害調査書 (様式第18号)

(19) 航空機損害調査書 (様式第19号)

(20) 死者の調査表 (様式第20号)

(21) 火災原因調査書 (様式第21号)

(22) 出場報告書 (様式第22号)

(23) 防火管理等調査書 (様式第23号)

(24) 図面 (様式第24号)

(25) 火災即報(様式第25号)

(書類作成者)

第35条 調書書類には、作成年月日を記載し、所属及び階級を表示して記名しなければならない。

(書類の省略及び併合)

第36条 第34条ただし書による火災については、火災原因調査書(様式第21号)の併合様式を作成し、調査書類の一部を省略することができる。

2 二つ以上の火災が相互に関連あるため一括して処理することを適当と認めるときは、それらの火災調書類を併合して作成することができる。

(報告)

第37条 火災が鎮火した場合、調査員は遅滞なく火災即報(様式第25号)により火災の概要を消防長に報告しなければならない。

2 火災調査の調査員は、調査が完了したときは、すみやかにこの規程の規定により作成した書類で消防長等に報告するものとする。

(書類の保存)

第38条 作成した調査書類は、火災調査関係書類目録(様式第12号)に記載し、調査所属部署においてこれを保管しなければならない。

(り災の証明)

第39条 消防長等は、火災等により被害を受けた者からり災の証明を求められたときは、り災証明願を提出させ、支障ないと認めるときは、証明するものとする。

(その他の災害)

第40条 この規程は、その他の災害についても準用する。

(広報)

第41条 火災調査に関する、住民及び報道機関等への発表は、広報効果が上がるよう積極的に行うものとする。

(施行細目)

第42条 消防長等は、この規程を施行するため必要な事項については、別に定めることができる。

この規程は、平成17年2月1日から施行する。

(平成30年訓令第1号)

この規程は、平成30年4月1日から施行する。

(令和3年告示第15号)

この告示は、公布の日から施行する。

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菊池広域連合火災調査規程

平成17年2月1日 規程第16号

(令和3年7月28日施行)

体系情報
第8編 務/第4章 防/第3節
沿革情報
平成17年2月1日 規程第16号
平成30年3月14日 訓令第1号
令和3年7月28日 告示第15号