○菊池広域連合救急業務規程
平成17年2月1日
規程第18号
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第35条の5の規定に基づき、救急業務の実施について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 救急業務 法第2条第9項に規定する業務をいう。
(2) 救急事故等 法に基づく救急業務の対象である事故等をいう。
(3) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所をいう。
(4) 転院搬送 現に医療機関にある傷病者を医師等の病状管理の下に緊急に他の医療機関に搬送することをいう。
(5) 応急処置等 救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)に基づき行う処置等をいう。
(6) 救急救命処置 救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第1項に規定する処置をいう。
(救急隊の編成)
第3条 救急隊は、救急自動車1台及び救急隊員3人以上をもって編成する。ただし、消防署長(以下「署長」という。)は、災害の状況により特に必要と認めるときは、救急隊以外の消防隊に業務を行わせることができる。
2 医療機関の医師、看護師、准看護師、救急救命士が救急自動車に同乗する転院搬送は、救急隊を救急自動車1台及び救急隊員2人で編成することができる。
(救急隊の配置及び出場区域)
第4条 救急隊は、消防署に配置するものとし、出場区域は菊池広域連合管内とする。
(消防応援協定等による出場)
第5条 消防長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第39条の規定に基づく消防相互応援協定による出動要請又は同法第44条に基づく消防庁長官からの出動の求め若しくは指示があった場合に、救急隊を出場させることができる。
(救急隊員の資格)
第6条 救急隊員は、次の各号のいずれかに該当する消防職員でなければならない。
(1) 救急救命士
(2) 消防学校の教育訓練の基準(平成15年消防庁告示第3号)別表第2の6救急科の課程を修了した消防職員若しくは消防長がこれと同等以上と認める消防職員
2 署長は、救急隊員に事故があるときの代行者を前項に準じてあらかじめ指定しておかなければならない。
(救急隊長)
第7条 隊員のうち1人は、救急隊長(以下「隊長」という。)とする。
2 隊長は、消防司令、消防司令補又は消防士長の階級にある者をもって充てる。
3 隊長は、上司の命を受けて救急業務に従事する隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うように努めなければならない。
(救急救命士の責務)
第8条 救急救命士は、応急処置等及び救急救命処置の実施責任者として、救急業務を遂行しなければならない。
(救急隊員の心得)
第9条 救急隊員は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 救急業務の特質性を自覚し、常に身体及び着衣の清潔保持に留意すること。
(2) 傷病者の取り扱いに当たっては、懇切丁寧を旨とし、傷病者に羞恥又は不快の念を抱かせないよう言動に注意すること。
(3) 応急処置に際し、過誤のないよう常に救急技術の錬磨に努めること。
(4) 救急機材の保全に留意するとともに、その使用については、適正を期すこと。
(救急隊員の訓練)
第10条 消防長は、救急隊員に対し救急業務を行うに必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うようにつとめなければならない。
(救急救命士の再教育)
第10条の2 消防長は、救急救命士に対し、救急救命士の資格を有する救急隊員の再教育について(平成20年消防救第262号)に基づき、2年間で48時間以上の病院実習を行うよう努めなければならない。
(救急隊員の服装)
第11条 救急隊員は、救急業務に従事する場合は、菊池広域連合消防吏員の被服等貸与規程(平成17年規程第6号)に規定する服装と感染防止衣を着用するものとする。ただし、安全を確保するため必要があるときは、救急帽に代えて保安帽と防刃衣を着用するものとする。
(救急業務計画)
第12条 警防課長及び署長は、特殊な救急事故の発生した場合における救急業務の実施計画を作成し、毎年1回以上その計画に基づく訓練を行うものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第13条 救急自動車には、次に掲げる資器材を備えるものとする。
(1) 応急処置等に必要な資器材
(2) 通信、救出に必要な資器材
(3) 救急救命処置を実施するために必要な資器材
2 救急隊は、その装備する資器材について毎週1回点検を実施し、その結果を積載器具点検簿に記載しなければならない。
第2章 救急活動
(救急隊の出場)
第14条 署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに救急隊を出場させなければならない。
2 隊長は、救急隊の出場ができない理由が生じたときは、速やかにその旨を署長又は当務課長に報告しなければならない。
(口頭指導)
第15条 署長は、救急要請時に、通信指令課又は現場出場途上の救急自動車から、救急現場付近にいる者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(救急活動の原則)
第16条 救急活動は、救命を主眼とし、傷病者の観察及び必要な応急処置を行い、速やかに適当な医療機関に搬送することを原則とする。
2 救急隊員は、傷病者の傷病程度が軽度で搬送の必要がないと認めるときは、応急処置のみにとどめることができる。
(現場指揮)
第17条 現場における救急業務の指揮は、隊長が行う。ただし、救急隊が2隊以上同一現場に出場する場合の指揮は、発生地の所轄の隊長又は当務課長が行う。
(医療機関の選定)
第18条 傷病者の搬送に当たっては、傷病者の症状に適応した診療を直ちに行うことができる医療機関を選定するものとする。ただし、傷病者又は家族等から特定の医療機関へ搬送を依頼された場合は、傷病者の症状及び救急業務上の支障の有無を判断し、可能な範囲において依頼された医療機関に搬送することができる。
(搬送拒否の取扱い)
第19条 隊長は、傷病者又は関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。この場合において、当該傷病者又は関係者に救急拒否申出書(様式第2号)に署名を求めるものとする。ただし、署名をもらえない状況の場合は救急拒否申出書に拒否状況を記載するものとする。
(医師の要請)
第20条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに医師に協力を要請し、適切な処置を行うものとする。
(1) 搬送することによって傷病者の症状が著しく悪化するおそれがある場合
(2) 傷病者の生死について、医師による救急現場での診断が必要な場合
(3) 傷病者の救助にあたり医療を必要とする場合
(搬送の制限)
第21条 傷病者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該傷病者を搬送しないことができる。
(1) 明らかに死亡している場合
(2) 医師が死亡していると診断した場合
(3) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行に伴う感染防止対策について(平成11年8月25日消防救第201号消防庁救急救助課長通知)の規定に該当するもの
(死亡者の取扱い)
第22条 救急隊員は、前条に規定する死亡者を取り扱う場合は丁重に取り扱い、努めて公衆の目に触れないように配慮し、関係者又は警察官に引き継ぐものとする。
(転院搬送)
第23条 転院搬送は、現に傷病者が収容されている医療機関の医師の要請があり、かつ、搬送先の医療機関が確保されている場合に行うものとする。
2 隊長は、前項の規定により傷病者を搬送するときは、医師又は看護師の同乗を原則として依頼するものとする。
(関係者の同乗)
第24条 救急隊員は、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、努めてこれに応ずるものとする。
(所轄警察署長への通報)
第25条 隊長は、傷病の原因に犯罪の疑い及び交通事故、自損事故等警察に通報の必要性があると認めたときは、速やかにその旨を所轄警察署長に通報するとともに、現場の保存及び証拠の保存に努めなければならない。
(要保護者等の取扱い)
第26条 隊長は、傷病者が生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合は、その旨を署長に報告するとともに当該傷病者の居住地又は救急現場の市町に通知するものとする。
(家族等への連絡)
第27条 救急隊員は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、その者の家族等に対し、傷病の程度、状況等を連絡するように努めなければならない。
(火災現場等における救急隊の任務)
第28条 火災現場及び災害現場に出場した救急隊は、救急救護を任務とする。ただし、救急活動を要しない場合は、現場最高指揮者の指揮のもとに活動するものとする。
第3章 救急報告等
(医師への引継ぎ)
第29条 隊長又は救急救命士は、傷病者が速やかに診療が受けられるよう、救急救命処置の内容、容態の経過その他必要な事項を医師に引き継ぐものとする。
(救急報告)
第30条 隊長は、救急活動を終わり帰署したときは、速やかに処置の概要を当務課長に報告するとともに救急報告書(様式第1号)に所要の事項を記載し、署長に報告するものとする。
(救急救命処置の記録)
第31条 救急救命士は、救急救命士法第2条第1項に規定する救急救命処置を行ったときは、その内容等を救急救命処置録(様式第4号)に記載し、消防長に報告するものとする。
2 救急救命士以外の隊員等が、救急出場中に自動体外式除細動器による救急救命処置を行ったときは、その内容を救急救命処置録(様式第4号)に記載し、消防長に報告するものとする。
(救急統計事務)
第32条 署長は、救急統計に係る事務を適切に行わなければならない。
(救急事故即報)
第33条 当務課長は、次の各号の一に該当する事故が発生したことを知ったときは、直ちに消防長と署長及び警防課長に報告するものとする。
(1) 死者5人以上の救急事故
(2) 死者が発生しており、かつ死者及び負傷者の合計が15人以上の救急事故
(3) その他社会的に影響度が高い救急事故
2 消防長は、前項の報告を受けたときは、火災・災害等即報要領(昭和59年消防災第267号)に規定するところにより熊本県消防保安課又は消防庁に報告するものとする。
(救急月報)
第34条 警防課長は、毎月の救急業務の処理状況を翌月15日までに消防長に報告しなければならない。
第4章 医療機関等
(医療機関との連絡)
第35条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と常に密接な連絡を取るものとする。
(団体等との連絡)
第36条 消防長は、救急業務に関係のある団体等と、救急業務の実施についで情報を交換し、緊密な連絡をとるものとする。
第5章 感染防止対策
(消毒)
第37条 署長は、次の各号に定めるところにより、救急自動車及び積載品等の消毒を行うものとする。
(1) 定期消毒 月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
2 前項の規定による消毒を効果的に行うため、署には消毒用資器材を備えるものとする。
(感染症と疑われる者の取扱い)
第38条 隊長は、感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、指定感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び救急自動車等の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、感染症等接触報告書(様式第7号)に所要の事項を記載し、消防長に報告しなければならない。
(感染防止対策)
第39条 隊長は、救急業務の実施に際し、結核及びウイルス性疾患等の病原体により汚染を受け、感染のおそれが生じた場合には、直ちに所定の消毒を行い、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、感染症等接触報告書(様式第7号)に所要の事項を記載し、消防長に報告しなければならない。
(緊急自動車)
第40条 救急自動車の整備については、自動車点検基準(昭和26年運輸省令第70号)の定めるところにより実施しなければならない。
附則
この規程は、平成17年2月1日から施行する。
附則(平成29年訓令第2号)
この規程は、平成29年3月1日から施行する。
附則(令和5年訓令第29号)
この訓令は、令和6年2月1日から施行する。
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