○菊池広域連合火災予防査察規程
平成31年3月4日
告示第2号
菊池広域連合火災予防査察規程(平成17年菊池広域連合規程第10号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第4条及び第16条の5の規定に基づく査察関係事務の執行及び事務処理について必要な事項を定めるものとする。
(1) 査察 法第4条又は法第16条の5の規定に基づき消防対象物又は製造所等に立ち入り、その位置、構造、設備及び管理の状況並びに危険物の貯蔵、取扱いについて検査及び質問を行い、火災予防上の欠陥事項について関係者に指摘し、その是正を促す作用をいう。
(2) 査察行政 査察を基点とし行政措置権の行使として命令、代執行又は告発措置を含む行政作用をいう。
(3) 政令対象物 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「政令」という。)第6条に規定する防火対象物をいう。
(4) 阻害物質関係施設等 法第9条の3の規定に基づき、火災予防又は消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質を貯蔵し、又は取り扱う施設をいう。
(5) 危険物施設等 危険物製造所等、危険物仮貯蔵所、危険物仮取扱所、少量危険物貯蔵取扱所、危険物運搬車両、指定可燃物貯蔵取扱所、阻害物質関係施設等をいう。
(7) 査察員 査察に従事する消防職員をいう。
(8) 使用検査 関係法令に基づく各種申請、届出等に応じて行う査察又は検査をいう。
(9) 特別査察 消防長が査察対象物を指定し行う査察をいう。
(10) 特定査察 査察対象物の特定事項について行う査察をいう。
(査察の基本)
第3条 予防課長又は署長(以下「署長等」という。)は、査察の目的を達成するため査察対象物の用途、規模、収容人員、使用実態等から出火の危険性、人命の危険性及び延焼拡大の危険性(以下「火災危険」という。)等を判断して積極的に査察を実施し、火災危険の排除に努めなければならない。
(改善指導及び行政措置権の行使)
第4条 署長等は、査察によって発見した法令違反その他の不備欠陥事項(以下「不備欠陥事項」という。)に対する改善指導に当たっては、関係者に対して直接具体的に指摘するとともに、十分指導を行い、関係者の理解と認識によって自主的な法律義務の是正がなされるよう努めるものとする。
2 行政指導によって関係者の自主的な法律義務の是正による安全確保が期待できない場合にあっては、その原因を追求するとともに、行政指導の限界等を極め適時適切な判断により行政措置権行使への移行等の節度ある行政対応を行うものとする。
(自主管理の活用)
第5条 査察に当たっては消防対象物の関係者が自らの責任において、自主的にその安全性を図るべきであるとの認識に立って、法律義務の履行状況において確認等の自主的な管理体制に着目して実施するものでなければならない。
(査察と他法令)
第6条 消防関係法令以外の法令の防火に関する規定に違反し、かつ、火災予防上重大な危険が認められるものについては、関係行政庁に通知し是正の促進を要請するとともに、十分な連絡を図り、その改善の指導に努めるものとする。
(社会情勢への対応等)
第7条 署長等は、査察行政と行政責任とのかかわり合いを十分認識し、世論の動向等を洞察して、常に社会情勢に対応するよう努めるものとする。
(情報管理)
第8条 署長等は、査察行政に係る情報については、集約し、及び分析し、必要に応じて資料化を図り、査察行政上有効にその活用を図るものとする。
2 査察の行政等により知り得た情報については、適正に管理し、警防活動等の消防行政に広くその活用が図られるよう努めなければならない。
(業務の効率化)
第9条 署長等は、査察の業務量及び執行体制を勘案して、危険の実態に着目した重点的な査察の執行を図るとともに、関係者による自主管理の実態を活用する等の査察業務の効率化を図るものとする。
(資質の向上)
第10条 署長等は、消防対象物の複雑化及び多様化並びに関係者等の知識及び技術の高度化等に対応するため、査察員の資質の向上を図るよう努めなければならない。
(指導・監督)
第11条 消防長は、署長等が行う査察の業務について、指導及び監督を行うものとする。
(執行方針及び査察執行体制の見直し)
第12条 消防長は、査察の執行状況を管理し、毎年度、執行方針及び査察の執行体制の見直しを行うものとする。
2 毎年3月に査察執行管理会議を開催し、翌年度の執行方針の立案及び査察執行体制の見直しを図るものとする。
3 前項の会議の構成員は、別に定める。
(査察の執行責任者の指定等)
第13条 署長等は、所属職員のうちから査察の執行責任者を指定し、査察の業務を適正に行わせなければならない。
2 署長等は、査察の執行責任者が計画的な査察を執行できるよう努めるものとする。
(査察員の責任)
第14条 査察員は、査察を行うために必要な知識及び技術を習得し、適正な査察業務の推進を図るとともに、査察行政に対する信頼を高めるよう努めなければならない。
(査察対象物の種別等)
第15条 査察対象物は、火災危険等の危険度に応じて、第1種査察対象物、第2種査察対象物、第3種査察対象物、第4種査察対象物、第5種査察対象物に区分するものとし、各種別の指定は、別表第1に定める査察対象物別の指定基準によるものとする。
(査察員)
第16条 査察は査察対象の区分に応じ、別表第2に定める査察対象別査察執行区分表により行うものとする。ただし、予防課の査察員、消防署の査察員の人員では実施が困難であるなどの事情がある場合は相互に協力するものとする。
(査察の計画の樹立要領)
第17条 署長等は、査察対象物の自主管理の状況及び過去の査察結果を十分考慮し、査察の計画を樹立しなければならない。
2 署長等は、査察の計画の樹立に当たっては、消防用設備等の点検及び報告が法令基準に従って行われないものに対して、重点的に査察を執行できるよう配慮するものとする。
3 署長等は、火災の発生状況、社会情勢等により必要と認めた場合は、既定の計画を変更し、効果的に査察を執行できるよう配慮しなければならない。
(査察の年度計画)
第18条 消防長は、社会的情勢及び査察対象物の危険実態等を勘案し、年度ごと査察業務を推進する指針(次項において「年度査察業務指針」という。)を示し、署長等に通知するものとする。
2 署長等は、年度査察業務指針に基づき、地域の特殊性、季節的条件等を総合的に判断して年度の査察の計画を樹立し、様式第1号による年度査察計画書により毎年4月末日までに消防長に報告しなければならない。
(査察の月間計画)
第19条 署長等は、前条第2項の年度査察計画に基づき、毎月末までに翌月の査察計画を樹立するものとする。
(事前準備)
第20条 査察の執行に当たっては、査察の効率的な執行を図るものとする。
(事前通告)
第21条 署長等は、査察の実施に当たり、必要に応じて事前通告を行うものとし事前通告は原則として口頭、電話等によるものとする。ただし、文書による場合は様式第2号の立入検査通告書によるものとする。
(査察の執行時の留意事項)
第22条 査察の執行に当たっては、法第4条若しくは法第16条の5の規定に定めるもののほか、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 原則、関係者、防火管理者、危険物保安監督者等を立ち会わせること。
(2) 正当な理由なく立ち入り、又は検査を拒み、妨げ若しくは忌避する者がある場合は、査察の要旨を十分説明し、なお応じない場合は、関係者の忌避等の理由を確認して、査察を中止し、上司に報告すること。
(3) 機器操作については、関係者、防火管理者、危険物保安監督者等に行わせること。
(4) 関係者の民事的紛争に関与しないこと。
(査察の執行要領)
第23条 査察は、前条の規定するもののほか、次の定めるところにより行うものとする。
(1) 前回の査察で指摘した不備欠陥事項等の是正状況及び査察対象物の変更等の状況を確認すること。
(2) 建築確認通知書、危険物施設等の許可書類及び届出書類、消防計画書、予防規程、防火対象物使用開始届出書、ボイラー、炉等の設置届出書並びにその他関係のある図書を準備させてその活用を図ること。
(3) 消防計画書、防火管理維持台帳等の記録等に基づき査察対象物の関係者が行った自主管理の状況記録等を確認し、その結果に基づき必要と認める事項について実施すること。
(4) 消防用設備等の点検内容の適否について確認するとともに、関係者が行う管理の助長について十分配意すること。
(5) 消防用設備等及び防火避難施設の検査にあっては、火災時を想定し、設備及び施設関係者等に取扱いをさせ、有効に活用し得るか否かを確認するよう努めること。
2 移動タンク貯蔵所及び危険物運搬車両に対する査察については、全国消防長会危険物運送車両(昭和63年全国消防長会申し合わせ。)の立入検査実施要綱に基づき実施するものとする。
2 前項の規定による交付に当たっては、違反事項等を具体的に記載し、関係者においてその内容が容易に理解できるよう配慮するものとする。
3 査察員は、特定査察又は特別査察により特定の検査項目について査察を実施した場合にあっては、その旨を検査結果とともに関係者に対し説示するものとする。
(改修の報告)
第26条 関係者に通知した不備欠陥事項については、関係者に次に掲げる事項について様式第7号による改善(計画)報告書により報告を求めるものとする。ただし、内容が軽微なものについては、口頭による報告を求めることができる。
(1) 改修に一定期間を要するものにあっては、具体的な改修計画
(2) 改修が完了したものにあっては、改修完了年月日
(不備欠陥事項等の確認、調査等)
第28条 署長等は、査察により指摘した不備欠陥事項等については違反是正の進行管理を図るとともに、査察員にその状況について確認させ又は調査させ、必要な措置を講ずるものとする。
(消防長への結果報告等)
第29条 署長等は、査察の結果及び査察対象物の状況を毎月消防長に報告しなければならない。
(関係行政機関との連絡協調)
第30条 署長等は、関係行政機関に関連する違反事項が認められたときで、以後改善指導及び違反処理上必要があると認められる場合は、関係行政庁に対し、菊池広域連合火災予防違反処理規程(平成17年規程第11号。以下「違反処理規程」という。)第32条第2項の規定に基づき通知し連絡協調に努めるものとする。
2 法第35条の13の規定に基づき、火災予防上関係機関へ照会、協力が必要な場合は別に定めがあるものを除くほか、様式第9号による火災予防関係事項照会書により照会するものとする。
(本部予防課員の派遣)
第31条 署長は、査察の業務に関して、特に必要があると認めるときは、消防長に対して本部予防課員の派遣を要請することができる。
2 消防長は、前項の規定による要請があったとき、又は特に必要があると認めるときは、本部予防課員を派遣することができる。
(資料の提出)
第32条 署長等は、火災予防上必要がある場合は、関係者に対して任意に必要な資料の提出を求めるものとする。ただし、これにより難い場合は、法第4条第1項又は法第16条の5第1項の規定による命令を様式第10号による資料提出命令書により行うものとする。
(報告の徴収)
第33条 署長等は、火災予防上必要がある場合は、関係者に対し、任意の報告を求めるものとする。ただし、これにより難い場合は、法第4条第1項若しくは法第16条の5第1項の規定による命令を様式第11号による報告徴収書により行うものとする。
4 前項の規定による保管書を交付した資料等は、紛失、き損等のないように保管するとともに、保管の必要がなくなったときは、保管書と引き換えに当該資料等を還付するものとする。
(違反処理への移行)
第35条 署長等は、次に掲げる場合には違反処理規程に基づき違反処理を行うものとする。ただし、違反処理を一定期間留保すべき特段の事情があると認める場合にあって、防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況から判断して、直ちに違反処理を行わなくとも当該期間において火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限にとどめることができると認めるときは、この限りではない。
(1) 第27条に規定する指示書による改善(計画)報告書の提出する期限を過ぎても、提出がなされない場合。
(2) 第27条に規定する指示書により提出された改善(計画)報告書の内容に不備があり、かつ、期限を定めて当該報告書の是正を指導したにもかかわらず、当該期限を過ぎても当該報告書の提出を求められた者がこれに応じない場合。
(3) 第27条に規定する指示書により提出された報告書に記載された履行期限までに法令違反の是正又は火災危険等の排除が完了していないと認められる場合。
(4) 法令違反の事実又は火災危険等があることが明白で、かつ、直ちに違反処理の措置を行う必要があると認める場合。
(委任)
第36条 この規程の施行について必要な事項は、消防長が別に定めることができる。
附則
この規程は、平成31年4月1日から施行する。
別表第1 査察対象物別指定表
区分 | 区分内容 | |
政令対象物 | 危険物施設等 | |
第1種査察対象物 (A)(B)(C)(D)に区分する | (B) 5項イ、6項イ、ロ、ハ ((C)除く) ※OA区分1 | (A) 予防規程の制定義務を有する危険物製造所等 |
(C) 防火対象物定期点検報告対象物 ※OA区分2 | ||
(D) 特定防火対象物で延べ面積が1,000m2以上のもの((B)(C)除く。) ※OA区分3 | ||
第2種査察対象物 (A)(B)に区分する | (B) 非特定防火対象物で(共同住宅、畜舎等を除く。)延べ面積が1,000m2以上のもの ※OA区分4 | (A) 予防規程の制定義務を有しないが危険物保安監督者の選任義務を有する危険物施設等 |
第3種査察対象物 (A)(B)に区分する | (B) 特定防火対象物で延べ面積が1,000m2未満のもの(第1種査察対象物除く) ※OA区分5 | (A) 予防規程の制定義務及び危険物保安監督者の選任義務を有しない危険物製造所等 |
第4種査察対象物 | 非特定防火対象で(共同住宅畜舎等を除く)1,000m2未満のもの ※OA区分6 | |
第5種査察対象物 (A)(B)に区分する | (B) 共同住宅、畜舎等 その他の消防対象物 ※OA区分7 | (A) 阻害物質関係施設等 |
※危険度大 大分類 第1種>第2種>第3種>第4種>第5種
小分類 (A)>(B)>(C)>(D)
OA区分1>2>3>4>5>6>7
※その他の消防対象物とは、変電設備等のうち単独で存在するもの及びその他の工作物等をいう。その他の工作物等に人為的に地上又は地中に造られたトンネル又は洞道等(工事中のもの含む)を含む。
別表第2 査察対象物別査察執行区分表 ※は担当査察員
区分 | 区分内容 | |
政令対象物 | 危険物施設等 | |
第1種査察対象物 (A)(B)(C)(D)に区分する | (B) 5項イ、6項イ、ロ、ハ ((C)除く) ※管轄する消防署査察員 | (A) 予防規程の制定義務を有する危険物製造所等 ※本部予防課査察員 |
(C) 防火対象物定期点検報告対象物 ※本部予防課査察員 | ||
(D) 特定防火対象物で延べ面積が1,000m2以上のもの((B)(C)除く) ※管轄する消防署査察員 | ||
第2種査察対象物 (A)(B)に区分する | (B) 非特定防火対象物で(共同住宅、畜舎等を除く。)延べ面積が1,000m2以上のもの ※管轄する消防署査察員 | (A) 予防規程の制定義務を有しないが危険物保安監督者の選任義務を有する危険物施設等 ※本部予防課査察員 |
第3種査察対象物 (A)(B)に区分する | (B) 特定防火対象物で延べ面積が1,000m2未満のもの(第1種査察対象物除く) ※管轄する消防署査察員 | (A) 予防規程の制定義務及び危険物保安監督者の選任義務を有しない危険物製造所等 ※本部予防課査察員 |
第4種査察対象物 | 非特定防火対象で(共同住宅畜舎等を除く)1,000m2未満のもの ※管轄する消防署査察員 | |
第5種査察対象物 (A)(B)に区分する | (B) 共同住宅、畜舎等 その他の消防対象物 ※管轄する消防署査察員 | (A) 阻害物質関係施設等 ※管轄する消防署査察員 |